1960年8月16日 午前7時ニューメキシコ上空31キロメートル、
アメリカ空軍大尉ジョゼフ・キッティンガーは、
宙に浮いていた。
この後の13分45秒の落下の映像が、
ガブリエル・ウォーカーに、
大気の本を書く決意をさせ、
同じ映像を見て、私もこの本を読む覚悟をした。
全ては、ジョゼフ・キッティンガーから始まっていた。
でも、それが、まさか、ガリレオの時代まで遡り、
科学者の探究心とともに、
現在、地球上で起きている事象にたどり着くまでの
壮大な物語だったとは思ってもみなかった。
この本は、ざっと見、科学オンチには、厳しい内容だった。
科学がキライ、それには何の理由もいらない。
苦手なものは苦手なんだもの、やらなくても構わない。
そんな風に、学業を終えたので、
大人とみなされる歳になった頃には、
そのお返しを受け、私は、とても無知だった。
青い地球、
その青い色が、空の色でもなく、海の色でもなく、
大気の色だなんて知らなかった。
その正体がなんなのか分からなくても、その色は知っている。
酸素があるから、生きていけることも知っている。
でも、なぜ、知っているのか・・。
それは、周知の事実として、教えられてきたからに他ならない。
これはこうで、あれはああだ、などと、
考える余地もなく、受け入れさせる教育が、
科学はつまらないと思う、私のようなものを増産してはいないだろうか。
でも、今からおよそ400年前、まだ科学者という言葉もなく、
科学者が自然哲学者と呼ばれていた頃、
天体の構造についての研究をやめさせられた、
ガリレオ・ガリレイの時代は違った。
世界のなりたちは謎に満ち、
大気は重さがあるのかもわからない単一のものだと思われていた。
ここから、教科書が一度たりとも教えてくれなかった、
科学者たちの情熱の物語が始まる。
大気の重さを計ったガリレオ、空気の圧力を証明したトリチェリ、
彼は、私たちは大気の海の底に沈んでいると、地球をイメージした。
大気の海、そう地球上は大気におおわれ、
そのおかげで、命が育まれる、青い惑星にと変わっていけた。
それがどういう成り立ちで判明していったのか、
この本には、科学者たちの人となりを知るとともに、
どんな時代に、どんなことが明らかにされてきたのかが綴られていた。
これが、何とも言えず面白かった。
確かに、最初の30ページほどは、読むのも憂鬱で、
ついていけなかった授業の記憶が、嫌なイメージとしてぶり返してくる。
でも、気がつくと、困難な状況をものともせず、仮定から実験方法を考え、
自分の信じた結論にたどり着こうとする科学者たちの姿に引きこまれていた。
彼らの時代の空気を吸い込み、あれよあれよといううちに、
フロンによるオゾン層の破壊や地球温暖化の過程にまでたどりついていた。
ここで得られる知識は、人によっては確かな教養となるだろうし、
私のようなものにとってでも、
ある種、知的なうんちくとして、かけがえのないものになるだろうと思う。
この本に出合えたのは、本当に幸運だった。
理系の人なら、間違いなく面白いだろうし、
現に、高1の息子でも、夢中になって読んでいたが、
つんどくだけだって悪くない。
敷居は高くても、ある日、意を決してページをめくれば、
うろ覚えの知識が生き生きと蘇り、
自然の理のなかで生かされている地球と自分を実感できるはずだ。
ただでいただいた者が何をか言わんだけど、
この本が、税込み2100円というのは、絶対にお値打ち。
久しぶりに、知識を得ることは、こんなにも楽しいのだと感じた。
絶対、お薦めです!
以下、いくつか抜粋・・・
酸素は、酸から生まれたものとして、オキシジョンと命名された。
(オキシドールは〜? 笑)
私たちが酸素を呼吸する時、
消費する酸素の2パーセントは、破壊力のあるフリーラジカルとして逃げていく。
人間の体は、フリーラジカルがつくられるのを防ぎ、できたものを一掃し、
その侵入者に負けそうになったら、細胞が自ら死滅する。
人は生きるために呼吸し、長い経過とともに死に近づいていくことになる。
老化が原因の病気はすべて、認知症、がん、心臓病など、
逃げ出したフリーラジカルによる損傷がかさなって起きることである。
果物や野菜には抗酸化物質がたっぷり含まれていて、
フリーラジカルの一掃を助けてくれる。
(まさか、老化のシステムまで書かれているとは)
純粋な酸素を酸素バーなどで吸う分には問題なくても、
長く吸い過ぎると肺が血液でいっぱいになり数日で死んでしまう。
(こわいね!)
フロンがオゾン層に昇っていく過程で紫外線を浴びると、
中の塩素原子が暴れ出し、複雑な反応を通して、
地球を守ってくれるオゾン分子2つが、使い道のない酸素分子3つに変わる。
これによってオゾン層に穴が開く。
ある計算によると、
1個の塩素原子が平均10万個のオゾン分子を破壊する可能性があるそう。
(些細な量だと思っていたものの、
うちの冷蔵庫のフロンでさえ、どれだけ大きな穴を開けたんだろう)
ヘルツが発見した電磁波がもっと遠くに飛べば、電線がなくても通信ができる。
マルコーニは、原理がまったくわからないまま無線を作り上げた。
それによって不可能だった海上での通信が可能になり、
それが10数年後、タイタニック号の遭難救助で役だった。
(このお話がドラマチックでした)
衛星をうちあげることで、大気圏のはずれの宇宙は放射能だらけだとわかった。
(ここで宇宙戦艦ヤマトの放射能除去装置が浮かぶのと同時に、
私たちは、本当に、大気の海に包まれて守られていると実感)
ヴァン・アレン帯
(読んだものの謎、たぶん、永遠の謎で終りそう・・)
オーロラ
(わかったような、やっぱり、わからん存在
でも、意味づけされることにより、いっそう神秘性が増した感あり。
いつか、見てみたい)
以上、わずかですが、抜書きでした。
物語性を帯びて書かれているので、本書は、こんなに無味乾燥ではありません。

大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか
書評/サイエンス

科学がキライ、それには何の理由もいらない。
苦手なものは苦手なんだもの、やらなくても構わない。
そんな風に、学業を終えたので、
大人とみなされる歳になった頃には、
そのお返しを受け、私は、とても無知だった。
青い地球、
その青い色が、空の色でもなく、海の色でもなく、
大気の色だなんて知らなかった。
その正体がなんなのか分からなくても、その色は知っている。
酸素があるから、生きていけることも知っている。
でも、なぜ、知っているのか・・。
それは、周知の事実として、教えられてきたからに他ならない。
これはこうで、あれはああだ、などと、
考える余地もなく、受け入れさせる教育が、
科学はつまらないと思う、私のようなものを増産してはいないだろうか。
でも、今からおよそ400年前、まだ科学者という言葉もなく、
科学者が自然哲学者と呼ばれていた頃、
天体の構造についての研究をやめさせられた、
ガリレオ・ガリレイの時代は違った。
世界のなりたちは謎に満ち、
大気は重さがあるのかもわからない単一のものだと思われていた。
ここから、教科書が一度たりとも教えてくれなかった、
科学者たちの情熱の物語が始まる。
大気の重さを計ったガリレオ、空気の圧力を証明したトリチェリ、
彼は、私たちは大気の海の底に沈んでいると、地球をイメージした。
大気の海、そう地球上は大気におおわれ、
そのおかげで、命が育まれる、青い惑星にと変わっていけた。
それがどういう成り立ちで判明していったのか、
この本には、科学者たちの人となりを知るとともに、
どんな時代に、どんなことが明らかにされてきたのかが綴られていた。
これが、何とも言えず面白かった。
確かに、最初の30ページほどは、読むのも憂鬱で、
ついていけなかった授業の記憶が、嫌なイメージとしてぶり返してくる。
でも、気がつくと、困難な状況をものともせず、仮定から実験方法を考え、
自分の信じた結論にたどり着こうとする科学者たちの姿に引きこまれていた。
彼らの時代の空気を吸い込み、あれよあれよといううちに、
フロンによるオゾン層の破壊や地球温暖化の過程にまでたどりついていた。
ここで得られる知識は、人によっては確かな教養となるだろうし、
私のようなものにとってでも、
ある種、知的なうんちくとして、かけがえのないものになるだろうと思う。
この本に出合えたのは、本当に幸運だった。
理系の人なら、間違いなく面白いだろうし、
現に、高1の息子でも、夢中になって読んでいたが、
つんどくだけだって悪くない。
敷居は高くても、ある日、意を決してページをめくれば、
うろ覚えの知識が生き生きと蘇り、
自然の理のなかで生かされている地球と自分を実感できるはずだ。
ただでいただいた者が何をか言わんだけど、
この本が、税込み2100円というのは、絶対にお値打ち。
久しぶりに、知識を得ることは、こんなにも楽しいのだと感じた。
絶対、お薦めです!
以下、いくつか抜粋・・・
酸素は、酸から生まれたものとして、オキシジョンと命名された。
(オキシドールは〜? 笑)
私たちが酸素を呼吸する時、
消費する酸素の2パーセントは、破壊力のあるフリーラジカルとして逃げていく。
人間の体は、フリーラジカルがつくられるのを防ぎ、できたものを一掃し、
その侵入者に負けそうになったら、細胞が自ら死滅する。
人は生きるために呼吸し、長い経過とともに死に近づいていくことになる。
老化が原因の病気はすべて、認知症、がん、心臓病など、
逃げ出したフリーラジカルによる損傷がかさなって起きることである。
果物や野菜には抗酸化物質がたっぷり含まれていて、
フリーラジカルの一掃を助けてくれる。
(まさか、老化のシステムまで書かれているとは)
純粋な酸素を酸素バーなどで吸う分には問題なくても、
長く吸い過ぎると肺が血液でいっぱいになり数日で死んでしまう。
(こわいね!)
フロンがオゾン層に昇っていく過程で紫外線を浴びると、
中の塩素原子が暴れ出し、複雑な反応を通して、
地球を守ってくれるオゾン分子2つが、使い道のない酸素分子3つに変わる。
これによってオゾン層に穴が開く。
ある計算によると、
1個の塩素原子が平均10万個のオゾン分子を破壊する可能性があるそう。
(些細な量だと思っていたものの、
うちの冷蔵庫のフロンでさえ、どれだけ大きな穴を開けたんだろう)
ヘルツが発見した電磁波がもっと遠くに飛べば、電線がなくても通信ができる。
マルコーニは、原理がまったくわからないまま無線を作り上げた。
それによって不可能だった海上での通信が可能になり、
それが10数年後、タイタニック号の遭難救助で役だった。
(このお話がドラマチックでした)
衛星をうちあげることで、大気圏のはずれの宇宙は放射能だらけだとわかった。
(ここで宇宙戦艦ヤマトの放射能除去装置が浮かぶのと同時に、
私たちは、本当に、大気の海に包まれて守られていると実感)
ヴァン・アレン帯
(読んだものの謎、たぶん、永遠の謎で終りそう・・)
オーロラ
(わかったような、やっぱり、わからん存在
でも、意味づけされることにより、いっそう神秘性が増した感あり。
いつか、見てみたい)
以上、わずかですが、抜書きでした。
物語性を帯びて書かれているので、本書は、こんなに無味乾燥ではありません。

大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか
- ガブリエル・ウォーカー、渡会 圭子
- 早川書房
- 2100円
書評/サイエンス





世界は驚きに満ちている。
養老孟司さんは新聞のコラムで、
それまで見たこともない虫をみると、いつも「うひゃあ」である、と。
見ていないところがまだなにかあるに違いない、あるはずだ。それが生きている楽しみである、と。
でもたいていの人は今日は昨日の続き、明日は今日の続きじゃないか、驚くことはなにもない、と
思っている‥。
サイエンス本にチャレンジしたみかんさん、何処までもたくさんの蝶を追いかけてくださいね。
ズレまくりで、スミマセンm(__)m。 私もいつかオ^ロラをみてみたいなぁ〜。