一日にあれこれ回るのは気ぜわしいけど楽しい。
つい先を急いでしまう。
そのせいで、お昼を食べそこねる。
誰かの生活の場のような街では特に、
ふらりと飛び込んで寛げるお店を察知するのは至難の技。
でも、寄ろうか寄るまいかお店を覗きながらの移動は
食べなくちゃ意識をどんどん高めていく。(笑)
ようやく見つけた大江戸線で深く地中にもぐり、
無機質な街、汐留についたときは、
その味家なさに疲れが一気に出たものの
見慣れたパン屋さんに救済されて遅いランチ。
ヴィ・ド・フランス
ここの生クリームとカスタードクリームが入ったメロンパンを
しょっちゅう買っていたことがあった。
でも、この日はパス。
カウンター席にはいい感じに緊張感を漂わせた先客。
ビジネス街って好きだ。
でも、それにしても、目的地、
パナソニック電工 汐留ミュージアムの看板は無愛想。
遠来の客を迷わせず案内する心配りが感じられない。
せっかくの施設なのに惜しいなあ。
そう思いながら、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展に行った。
建築の展覧会だとしか知らずに。
お薦めがあったくらいなんだからと、その辺りは人任せ。(笑)

そもそも、このウィリアムさんって誰?
そんな新鮮なところ(無知とも言う〜)からキョロキョロ。
明治38年に滋賀県に宣教師として来られた方だと知る。
勧誘の熱心さゆえ、英語教師の仕事を失ったそうだ。
どの宗教がどうということではないけれども、
宗教の熱心な勧誘ってちょっとというか、かなり引く。
でも、とってもいい人だったらしい。
メンソレータムで有名な近江兄弟社も作ったらしい。
でも、未経験で、もともと希望していた建築の仕事につくって、つけるって、
当時の日本がとってもアバウトだったのか、その辺に驚く。
素人が作った建物ってヤバクないんだろうか・・。
これがこの日の最大の謎でした。
でも、展示されている設計図は、本物のド素人の私が見てもそれらしく、
建てられた建物は、うん、うん、こういうのある!と、好ましい。
結核の人のための建物からは優しさを感じる。
学校の階段手すりにつけられたウサギとカメからはユーモアを。
設計図に記されたTANSUという表記には思わず頬が緩んだ。
どの建物も簡素だけど、必要なしつらえはちゃんとされていて、
人を育み暮らしを支える居場所をつくることこそ、
大切な設計なんだと実感する。
ただ、それは旧岩崎邸と対極にあり、
設計図やモニターで見る建物の分は悪い。
関西中心なのも私には今ひとつピンと来ず、
それでも、あの山の上ホテルを建てた方なんだという一点で、
これはぜひ現物を訊ねなくてはと思った。

古い建物は、その佇まいが穏やかでどこか優しい。
長男の学校の講堂もそれなりの古さで、
その中にいるととても気分がいい。
建物を見る遠足もいいなと思った。
帰り道、駅で手にした冊子の本紹介に、
東京建築物語」というものがあった。
今度、図書館で借りてみようと思う。
建築つながりの長い一日、
始まりの国立西洋美術館はル・コルビジェの設計、
今後の楽しみまで膨らんでいい一日を過ごせたと思う。
ちょっと気に留めると楽しいことってなんてたくさんあるんだろう。

ただ、同じく、手にした街ガイドで、
同じ敷地にあるパナソニック リビング ショウルーム東京で、
最新の美容機器を使ったセルフエステが体験できたり(有料・要予約)
背筋チェックで自分の姿勢を測定できる(無料)ことを知り
残念に思ったのは欲張り過ぎだったかしらん。(笑)
今度、汐留に来ることがあるとしたら、そういうのもいいな。
そういう時は友だちと一緒がいいな。(笑)

長いお出かけも、午後6時10分帰宅。
塾に行く次男の食事の支度にあわあわ。
カレーすら間に合わず、
あれもこれもとかき集めたものを食べさせる。
図面から検討した我が家。
一生のお付き合いだと言ってくれて、
何かあると嫌な顔もせず駆けつけてくれた石井さんは退社。
それがなんとも心細い。
ことなきを得るよう大事にせねばと思う。
ただ立派なだけではなく、見た建物から、
心意気や愛情を感じ励まされたように思った。